監査の指導的機能と粉飾指南
監査には指導的機能があります。
監査というと一般的なイメージとして、会社が作成した財務諸表等について、誤りがあれば指摘する役割(批判的機能といいます)を想像すると思うのですが、監査には「指導的機能」という別の役割も期待されています。
監査を受ける側の会社の担当者の立場を考えてみてください。
ある事象が生じたものの、どのように処理をすべきか判断に迷ったとします。
その場合にどうしますか?

とりあえず、自分の思うままに処理をしておいて、期末時点で監査人に見てもらう。これが一番単純な方法だと思います。
でも、そこで、もし「その処理はダメだから直してください」と言われたら嫌ですよね?そもそも、現実的にも、期末も押し迫ったタイミングでダメと言われても、上司や投資家に対する都合もあって、そう簡単に財務諸表等を修正できるものではありません。
そのため、できるだけはやく監査人に生じた事象を説明しておき、あらかじめ会計処理方法について見解を一致させておく、ということがよく行われます。
他にも、監査の過程で監査人がその会社の誤りの傾向や会計業務の観点から見た弱点を発見した場合には、都度、会社に報告し、改善してもらうことにしています。

いずれも、「誤った処理をしてしまった」→「監査人が発見し、修正をしてもらう」ではなく、「はじめから正しい処理をする」ように会社にアドバイスをしているわけです。
このような役割を「指導的機能」と言うのです。
もっとも、この指導的機能は一歩間違うと、「粉飾指南」と取られる可能性があります。
たとえば、会社と監査人との打ち合わせで、下記のような話があった場合を考えてみてください。
- この処理だと監査上認められないけれど、こう処理すれば監査上認められるよ
- この資本関係だと連結の範囲に含めざるを得ないけど、こういう資本関係にすれば連結の範囲に含めなくてもいいよ
- ・・・
これは、監査の「指導的機能」を発揮した、というのか単なる「粉飾指南」なのか、、微妙だと思いませんか?