監査に強制調査権はない
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監査は被監査会社の任意の協力に基づいて実施されます。
監査上必要な情報というのは、全て会社の人に了承を得たうえで入手します。そのため、会社の人が書類を出すことに同意しなかったり、会社の人に情報を隠されてしまった場合には、監査人は情報を得ることができません。
非監査会社に話をしながら、資料を提出して頂きます。


監査を受ける状況を想像して頂けるとわかると思うのですが、監査を受けることは精神的に苦痛を伴います。
もし、余計な資料を出して、変なことを感づかれたら・・、という思いはどうしても断ち切れないと思いませんか?
ですから、積極的に情報を隠す、とまではいかないにしても、監査人から言われない限り進んで情報は出さない、とか、業務に必要はないが監査上は重要な資料を敢えて作らない、といったことは、実務上、よくあることです。
このような場合、税務調査や警察の捜査の場合には、強制調査権があるため、怪しいと踏んだら、抜き打ち検査・家宅捜索・強制捜査といった手法により証拠を強引に入手することができます。
しかし、会計監査に関しては、このような手法は使えません。いかに会社に資料を出してもらうかが、監査担当者の腕の見せ所といっても過言ではない状況にあるのです。
監査の重要な手法として、下記のような3つの監査手法がよく挙げられます。
- 実査(実際に現金等の現物をチェックすること)
- 立会(在庫棚卸に同席して、在庫が実在していることをチェックすること)
- 確認(取引先に対して債権・債務の残高を問い合わせて、会社の残高との整合性をチェックすること)
この3つの監査手法は証拠力が強いものとして、よく例にあげられます。
監査には警察と違い強制調査権はないのです。


でも、もし、次のような対応を取られた場合、あなたが監査人の立場だとして、それを見破る自信がありますか?
- 実査に来る日はあらかじめ指定されているので、その日だけ、元帳を調整したり、現金を調整して、残高をばっちり合わせておく
- どの倉庫の棚卸に立ち会うかはあらかじめ指定されているし、全ての場所を一斉に棚卸するわけではないので、他の倉庫から監査人が来る倉庫に在庫を動かして、つじつまを合わせておく
- 取引先にお願いして、都合のいい残高を書いてもらう
他にも、取引先と共謀して、物を実際に納入したことにして各種証憑を整えられてしまうと、もう監査人としては手の出しようがないのです。